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補助参加の利益−訴訟の結果について「利害関係」、の範囲

再び民訴42条のハナシ。

民事訴訟法42条
訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。


「訴訟の結果について利害関係を有する第三者」とは、係属中の訴訟における訴訟物に対する判断によって、自己の法的地位が論理的に影響をうける場合。

論理的に影響を受けるって、ほんとぼかしまくりの規範だ。論理的に影響を受けるって、それが「法的に」なのか「事実上」なのかをあえてぼかしているとしか思えない。こんなんで何が判断できるん?主債務と保証債務について、ちょっとあてはめ考えてみるよ。れっつらごー。


保証債務の履行請求訴訟が係属している場合の主債務者
債権者Xの保証人Yに対する保証債務履行請求訴訟が係属している場合、この訴訟に主債務者Aが参加することができるか。

本件訴訟物は、XのYに対する保証債務履行請求権。これに対する請求認容判決が確定すると、XのYに対する保証債務の存在が既判力により確定される。保証債務は実体法上附従性を有するため、保証債務が存在するならば実体法上主債務も存在することになる。よって、その認容判決により主債務者の地位が実体法的に影響を受ける*1といえる*2


主債務の履行請求訴訟が係属している場合の保証人
債権者Xの主債務者Yに対する主債務履行請求訴訟が係属している場合、この訴訟に保証人Aが参加することができるか。

本件訴訟物は、XのYに対する主債務履行請求権。これに対する請求認容判決が確定すると、主債務の存在が既判力により確定される。もっとも、主債務が存在したとしても実体法上保証債務も存在することにはならない。よって、その認容判決により保証人の地位が実体法的に影響を受けるとはいえない*3
そ、法的にはね。
でも、主債務の存在が実体法上保証債務発生の要件の一つであることは確かなわけで、保証債務の履行請求訴訟において主債務の存在は保証債務の存在を判定する際の論理的前提にはなる。よって、その認容判決により保証人の地位が事実上影響を受けるとはいえる*4


「利害関係」の要件をどこまで広く解釈するかは、その効果により不利益を受ける既存当事者と補助参加人が受ける利益との衡量により決まる。
…って言ったって補助参加の場合と通常の二当事者訴訟の場合とで、どの程度手続が複雑になるのかわからんので既存当事者のデメリットもまた藪の中。実際、補助参加訴訟ってどの程度件数があるんだろうなー。


ところで、
「法的に影響を受ける」と「事実上影響を受ける」の関係って
「法的に影響を受ける」と「法的に影響を受けるおそれ」の関係って同じだよね??

*1:判決理由中の判断である以上、訴訟法的には何ら影響は受けない。

*2:効果は要件の必要十分条件。効果が存在するなら要件は必ず存在する。この場合、要件ちゃんの参加は常に認められる。

*3:判決理由中の判断である以上、訴訟法的には(以下略

*4:要件は効果の必要条件。要件が存在するとしても効果が必ず存在するとは限らない。この場合、効果ちゃんの参加は認めてよいの?