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続・続 補助参加の利益−最終章の予感

長々、悶々と私の中にくすぶり続けた補助参加の利益ですが、

補助参加の利益−訴訟の結果について「利害関係」、の範囲 - LawDesiGn
続・補助参加の利益−百選A39事件のあてはめを考える - LawDesiGn


ありました。
疑問に答えてくれる判例評釈。
その名も、判例タイムズ338号66頁。
光り輝いております。
ぴかぴかです。
おー

…お?


…「あなたの疑問は皆が思っていますよ、回答はしばしお待ちを。」



ヾ(⌒(_•́ω•)_


…試験には容赦なく出すくせに、…くせに…
でも、とりあえずわからないっていうことがわかっただけで、もうけもんだもん。

今日のエントリのダイアグラム。
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とにかく何が原則的事例で、何が原則の拡大事例なのかを把握しときたい。原則の拡大事例については、あてはめ丁寧にすべきだもんね。それを試験会場でもとっさに判断できるようにしたい。そのとっさの判断が現場でできなさそうな重たい予感がするNo.1が、補助参加の利益。

補助参加の利益が問題になる事例っていうのは、①原則事例として、要件が効果に参加する場合と、②拡大事例として、効果が要件に参加する場合とに分けて考えられたりしないだろうか、もやもや。つまり、①主債務者が保証人の補助参加する場合と、②保証人が主債務者に補助参加する場合。この2つの事案は、判決の結果が参加者の実体法上の地位に与える影響、が明らかに違うように思うのね。その理由としては、要件にとって効果の存在は必要十分条件だけど、効果にとって要件の存在は必要条件にすぎないから。要件とは主債務の存在。効果とは保証債務の存在。


でも、この、要件が参加するのか、効果が参加するのかという区別は、③真の所有者Xから追奪責任(引渡請求)を受けた買主Yに売主Aが補助参加をする場合を考えると適切じゃなかった。売主Aの所有権の不存在というのは、YのAに対する損害賠償請求権の要件の一つなので、このケースも効果が要件に参加する場合(前訴訴訟物たる権利の存在により自己の実体法上の存在も必然的に定まる関係ではない)。でも、参加人Aと被参加人Yとの間に参加的効力が生じるので原則事例から外れているとはいえないだろう。
あえなく要件・効果による選別は討ち死に。ぐふ。


で、今のところやっぱり参加的効力が生じるのが原則事例で、参加的効力が生じないのが拡大事例ということになるのかなー。そうするととりあえず②は区別できるね。個人的には①と③もいっしょくたにしていいものなのか疑問があるけど、言葉にできない、もやもや。

結局、参加的効力が及ばないにも関わらず補助参加したいぜって言ってくる事例はちゃんと考えよう、ってつまんない結論になっちゃったなー。
むー。


このままじゃ、面白くないので冒頭の判例評釈から引用。
被参加人とは参加的効力及ばない関係だけど、被参加人の相手方との間では喧嘩になるおそれがあるから補助参加させてよって事例が5個。

参加申立人が被参加人の相手方との間で、紛争解決ないし権利保護の必要に迫られる場合のめぼしいものを拾って見ると、次の諸例がある。

      • -

①大決昭和8.9.9
村の出納員Xが、村住民の一人であるYに対し、住民大会で住民が寄付金を負担する旨の決議がなされたとして、寄付金の負担部分を請求し訴訟提起。
←これに、村の住民Zら22名が、Yへの補助参加を申出。
 ←もしYが敗訴すれば、同一理由をもって、XからZらに右寄付金を徴収されるおそれがあるから。
⇒補助参加は認められる

②大決昭和7.2.12
XがYに対し入会権妨害排除請求訴訟を提起*1
←これに、隣接山村の所有者であるZが、Yへの補助参加を申出。
 ←もしYが敗訴すれば、同一の事実関係にあるZ所有の山林についても、X単独の採取権を主張してZに訴えを提起してくるおそれがあるから。
⇒補助参加の申出は却下

③東京高決昭和38.12.10
合資会社の社員Xが、さしあたり社員Yのみに対し、自分を除く他の社員には利益配当請求権その他社員としての諸権利が存在しないことの確認を求め訴訟を提起。
←これに、Yと同様の地位にある他の社員Zが、Yへの補助参加を申出。
⇒補助参加の申出は却下

④大阪高決昭和41.2.2
Xが、芦屋税務署長Y1及び大阪国税局長Y2に対し、課税処分取消訴訟を提起。
←これに、Zが、Yらへの補助参加を申出。
 ←・Xの課税処分の根拠は、XがZから株式8,300株の贈与引渡を受けた事実
  ・しかし、Xは未だ引渡を受けていないと主張。
  ・現に、XはZに対し、別訴で株式引渡を求めて訴訟提起しており係属中。
  ・そこで、Zは、課税処分取消訴訟における株式引渡についての判断如何が、XZ間の株式引渡請求訴訟に重大な影響を持つと考えた。
⇒補助参加の申出は却下

⑤東京高決昭和49.4.17
Xが、キノホルム製造販売業者Yに対して、当該製造販売行為が違法であることを根拠に損害賠償請求訴訟を提起。
←これに、同じくXからキノホルム投与行為の違法性を根拠に、別訴にて損害賠償請求訴訟を受けていたZが、Yへの補助参加を申出。
⇒補助参加の申出は却下


ところで、上の⑤の事例って、主観的併合要件(38条後段)は満たすんじゃないのかな…。権利同種かつ原因同種じゃない?あれー…、仮に主観的併合要件満たせば、Xは通常共同訴訟の形でYとZを共同被告として訴え提起できるわけだよね。でも、補助参加はできない、と。
既に他方の訴訟が係属中の場合に後から加わるのと、訴え当初から関与しているのと、何が違うのかなー。

38条のあてはめも、さっぱりできないよ。
主観的併合要件っていうのは、積極的にこの場合に通常共同訴訟を認めますっていうより、この場合は除外したいんですよ、みたいな想定されている事案があるのじゃないかと推測してるんだけど、やっぱりよくわからない。

*1:…入会権…