「企業再生とM&Aのすべて」(藤原総一郎著)
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久しぶりに、この本を読み返してみた。
- 作者: 藤原総一郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/05/20
- メディア: 新書
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発刊されたのが会社法改正前なので現行法に置き換えて読まなきゃいけないところはあるけれど、経済の話が法律の話とリンクさせて説明してある良書。
商法や会社法の勉強をするときいつも思っていたのが、この法律が実際にどう使われるのかが見えないということ。私法って結局経済的なことが分かってないとほんとの理解って難しい。経済的な必要性があってそれに沿って法制度が整えられていく状況や、経済的な利害関係がどういう風に権利義務という形に引き直してあるのか、そういうことをもっと知りたい。
…と思っていた頃に買った本。
企業再生法の説明の前提として、再生が必要となるに至ったバブル経済崩壊までの背景が分かりやすくまとめてある。 企業が債務超過に陥った際に、BSやPLがどう使われるのかも具体的に書いてあります。
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記憶のために、ダイアグラム。
特に、読んでて「おっ」って思ったのが、BS改善のための債務消滅債務額を減らす手段が法的構成とともに書いてあったとこ。
DES(Debt Equity Swap)が代物弁済で、 DDS(Debt Debt Swap)が更改だっていうのは、最初読んだとき感動しました。 同時に、あー、民法分かってないとも思った。
民法の「債権の実現」のところ、目次を確認。
- 債務内容の確定
- 物の引渡請求権
- 特定物
- 種類物
- 金の引渡請求権
- 金銭債権
- 利息請求権
- 物の引渡請求権
- 債権実現に向けた(確定した)債務内容の変更
- 更改−債務存続
- 債務引受
- 任意による債権の実現
- 弁済−債務消滅
- 相殺
- 債権譲渡
- 強制による債権の実現
- 強制履行
- 損害賠償
DDSは更改なので内容が変わるにせよ、債権自体は残る。だから、債権者の同意が得やすい。これに対してDESは代物弁済なので元の債権は消滅してしまう。だから、債権者の同意が得にくい。
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相殺と債権譲渡と代物弁済の違いっていうのも興味深い。
兄弟姉妹のアウトラインの関係を考えるのは面白いな。