誰を被告にすべき?−民法714条と主観的予備的併合
(民事系例題)小学5年生のAは、自宅で父B及び母Cが不在中に仏壇に置いてあるマッチを点火して遊んでいた際、誤って火の付いたマッチ棒を床に落とし、自宅を全焼させてしまった上、隣家Dの自宅も全焼させてしまった。Dが、A,B,Cらに訴訟を提起する際の民事訴訟法上の問題点を検討せよ。
— 赤木真也 (@akagilaw) 2013, 12月 26
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この問題を考えながら、以前、こちらのエントリで書いた次の言葉を思い出しました。
本書は、被告側の事情により原告にとって被告とすべき者が明らかでないときは、原告に被告となりうる者を訴訟にひっぱりだす手段が認められるべきとする。これが、主観的予備的併合を認めるべき、とする解釈につながっていく。
主観的予備的併合とは、被告を誰にしたらいいのやら分からない、そういう場面であることを再認識。
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んで、考えた結果がこうなりました。
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その後、赤木先生はこのようにつぶやいていらっしゃいました。
結局請求の趣旨としては、「被告らは、原告に対し、連帯して~」と一本でいいのであろう。同時審判が認められるのであれば、主観的選択的(予備的)併合の問題は出てこなくてすむ。
— 赤木真也 (@akagilaw) 2013, 12月 26
上のダイアグラムの数字を使うと、主観的選択的併合*1になる場合とは、子に責任能力が認められるときの子への709と親への709③を併合する場合、 主観的予備的併合になる場合とは、子に責任能力が認められるときの子への709と子に責任能力が認められないときの親への714①を併合する場合、でいいのかな?
11歳というのは、実際裁判で責任能力が認められやすいのだろうか…。どうなのだろう。 そして、主観的選択的併合の具体例というのを初めて見た。なるほど。不真正連帯債務とかも主観的選択的併合っぽい。多数当事者の債務関係は主観的選択的併合になりそうだけど、それでいいのかな。
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それにしても、主観的予備的併合は実務では認められないものと思っていたけど、こちらのブログにこれを認めた判例が紹介されていました。
jugement:主観的予備的併合を適法と認めた事例: Matimulog
上の事例ではどうなのかなー。予備的被告となるとその地位が不安定になる、という理屈は親子間でもあてはまるのだろうか…。
うーむ。